新たに登場した老眼レーシックに注目!
老眼は、正式名称を「老視(ろうし)」と言い、年齢とともに近くの物が見づらくなる現象です。原因は、目のレンズに当たる水晶体が、加齢によってうまくピント調節をできなくなるため。40~50代頃にほとんどの人に自覚症状が表われる老化現象の一つです。
以前は老眼鏡や老眼コンタクトレンズで対処するしかなかった老眼ですが、2004年頃からアメリカ・日本・ヨーロッパを中心に、手術による老眼治療がスタートしました。ラジオ波を使った老眼治療・CKや、白内障手術の一種である遠近両用白内障手術などは、現在も行われている有名な老眼手術です。
また、近年はレーザーによる視力矯正(レーシック)の分野でも老眼治療を目的とした様々な術式が開発されています。老眼をターゲットとしたレーシックは、従来の老眼手術の弱点を改善した手術内容や、リーズナブルな費用などから、眼科医・ユーザー双方の注目を集めています。
今回は、老眼治療の中でも、この「レーシック」にスポットを当てて、老眼レーシックの種類と特徴、老眼レーシックを実施している眼科の費用や保障制度等を紹介します。
老眼レーシックの種類
リーディングアイ
レーシックで両眼の視力を矯正した後、片眼の角膜内に「カムラインレー」(小さな黒いリング)を挿入する老眼レーシック。ピンホール効果によって近くのものが見やすくなる。
- 【メリット】
- 遠方の視力に影響を与えることが少ない
- レーシックと同時に行うため近視・乱視・視界のゆがみなども矯正可能
- 【注意点】
- 細かな文字を読む時は老眼鏡が必要になる場合がある
- 手術後の視力回復にかかる時間は個人差が大きい
老眼治療Vue+(ビュープラス)
透明なレンズを角膜内に挿入し、屈折率を変えることで近距離・中間距離にピントを合わせる老眼手術。施術は利き目と反対側の目に対して行う。片目で近距離を、もう片方で遠距離を見るモノビジョンの原理を応用。使用するレンズはRaindrop(レインドロップ)という角膜インレーで、異物感はなく半永久的な効果を持つ。両眼の視力によってはレーシックも同時に行う
- 【メリット】
- 遠方の視力に影響を与えることが少ない
- レーシックを同時に行うと近視・乱視・視界のゆがみなども矯正可能
- 【注意点】
- 細かな文字を読む時は老眼鏡が必要になる場合がある
- 手術後の見え方に慣れるまで時間がかかる場合がある
※術前に見え方のシミュレーションを受けると良い→新宿近視クリニック
モノビジョンレーシック
レーシックによって片方の眼で「遠く」を、片方の眼で「近く」を見る状態に矯正する老眼レーシック。通常は、利き目を遠方にピントが合うよう矯正し、利き目と反対側の目にあえて近視を残す。左右で見え方に差が生じるため、見え方に慣れるまでに時間がかかる場合がある
- 【メリット】
- 眼鏡なしで近くも遠くもある程度見えるようになる
- 費用が比較的リーズナブル
- 【注意点】
- 見え方に慣れるまで時間がかかる場合がある
- 立体感覚や遠方視力が低下する場合がある
対象となる人 |
45歳~60歳まで ※白内障や緑内障などの疾患がないこと ※過去にレーシックを受けた人も施術可能(適応検査の結果による) |
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主なレーシック眼科 |
神戸神奈川アイクリニック
※術後の見え方をシミュレーション可能 |
スープラコア モード
角膜を老眼コンタクトレンズ(遠近両用コンタクトレンズ)のような形状に変化させる老眼レーシック。レーシックで屈折矯正に使われるレーザー(エキシマレーザー:TECHNOLAS 217P)を老眼専用の照射モードで使用
- 【メリット】
- 両眼で同じ見え方となるため、手術後の違和感が少ない
- 2011年、EU加盟国の安全基準を満たしたことを証明するCEマークを取得
- 【注意点】
- 新しい老眼レーシックのため国内での手術実績が少ない
対象となる人 |
40代~60代(個人差あり) ※過去にレーシックを受けた人は施術不可 |
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老眼レーシックの注意点
老眼レーシックを受ける際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
老眼は進行性
老眼は40歳頃から60歳頃にかけて、徐々に近見視力が低下していくのが一般的です。老眼レーシックを受けるタイミングによってはレーシック後も視力が変動する可能性があるため、レーシックを受ける眼科には、事前の適応検査で、現在の目の状態(老眼の進行度)や、老眼が進行した場合の対処方法(保障制度等)をよく確認しましょう。
白内障になる可能性も考慮する
白内障は水晶体が濁ることにより、視界が見づらくなったり外見に変化が見られる眼疾患です。40~50代頃に発症するケースが多く、加齢とともに発症率が高まります。白濁が進むと手術が必要になる場合もあり、その割合は65~74歳でほぼ5人に1人、75歳以上で2人に1人と、決して珍しくありません。老眼でレーシックを受ける場合は、将来的に白内障手術が必要になる可能性や、すでに白内障が発症している可能性があることを考慮しておきましょう。
ちなみに、レーシックを受けたあとでも白内障手術を行うことはできます。ただし、角膜のカーブがレーシックによって変化していたり、角膜内にインレーを挿入している場合などは手術に影響するため、事前に眼科医に申告する必要があります。
レーシックを受けている場合は必ず申告
老眼になる以前にレーシックを受けている場合、老眼レーシックの術式や、適応検査の結果(角膜の厚さ等)によっては治療できない場合があります。また、手術の際の計算式も変わってくるため、レーシックを受けている人は、適応検査時に必ず眼科に申告しましょう。また、前回のレーシックの際のデータがあると、より正確な治療が行えるため、レーシックを受けた眼科に依頼し、手元に残しておくと安全です。
老眼レーシックは、国内の主要なレーシック眼科が力を入れていることもあり、進歩が著しい老眼治療です。
それぞれの術式によって、術後の見え方や注意点も異なるため、まずは適応検査で現在の目の状態をしっかりチェックしてもらい、眼科の問診や見え方のシミュレーション等も活用して、疑問や不安を解消してから手術に臨みましょう。
老化現象と諦められがちな老眼ですが、人間は外部の約8割の情報を目から得ていると言われます。視力低下によって脳への刺激が減ることは、思考や活力を低下させ、老化を促進させたり、肩こりや頭痛など身体の不調の原因にもなります。
生活の質を保ち、これからの人生を活き活きと過ごすうえでも、老眼の症状に悩んでいる方は、老眼治療の一環としての老眼レーシックを検討してみてはいかがでしょう。