オルソケラトロジーとは? ~視力回復のコンタクトレンズ~
オルソケラトロジー(orthokeratology)は、就寝時に装着するだけで視力を回復させ、昼間は裸眼で過ごせるようになるという、特殊なコンタクトレンズです。
日本ではなじみの薄いオルソケラトロジーですが、1940年代頃からアメリカで研究・開発が始められ、眼科医のあいだで注目を集めてきました。
コンタクトレンズをはめて視力回復が行える便利さと、レーザーやメスで角膜を削る必要がない低リスク性が特徴で、近視治療の有用な手段の一つとして期待が持たれています。
PICKUP! オルソケラトロジー比較
…オルソケラトロジーを実施している眼科の費用や診療内容を比較!
オルソケラトロジーの視力回復の仕組み
オルソケラトロジーでは、ちょうど歯の矯正のように、特殊なハードコンタクトレンズをはめることによって角膜にクセをつけ、光の屈折率を調節して視力を回復させます。
人間の角膜は、目を保護するのに充分な硬さと厚みを持つ一方で、非常に弾力があり、新陣代謝の活発な組織です。そのため、コンタクトレンズをコルセットのようにはめることで容易にかたちを変え、また一度変わった形状を一定の時間、維持することができます。
この角膜の性質を利用して、手術によらない屈折率矯正を目指したのがオルソケラトロジーです。
コンタクトの装用期間が長いほど角膜の形状が安定し、視力も安定しますが、角膜のかたちが整うまでは視力が変化しやすいという欠点もあります。
夜間装用のできるコンタクトレンズとは?
オルソケラトロジーに使われるコンタクトレンズは、FDA(アメリカ食品医薬品局)や日本の厚生労働省によって認可された角膜矯正用の「高酸素透過性コンタクトレンズ」です。
名前の通り、酸素の透過性に優れたコンタクトレンズで、角膜のかたちを調節する独特のカーブや、ドライアイ防止用に涙液のたまる窪みなどがデザインされており、夜間就眠時の装用を可能にしています。
アメリカでは1998年に、日本では2009年に厚生労働省によってこのコンタクトレンズ素材が認可されました。
オルソケラトロジーの効果
1. 長期の装用で長時間の裸眼視力を維持
オルソケラトロジーの視力回復効果は、コンタクトレンズを装用する期間によって変化します。治療開始の直後は、裸眼でいられる時間は半日程度ですが、1週間ほど続けると夜遅くでも裸眼視力を維持できるようになります。
すぐに1.0以上の視力を得られる場合もあれば、しばらく効果が現れない場合もあり、レーシック同様、個人差があります。安定した視力を得るまでにかかる期間は、おおむね3ヶ月程度、6ヶ月ほど経過すると、ひと通りの効果が見られます。
治療期間中は、定期的に眼科に通い、視力検査と治療指導を受けます。
2. 軽度近視、中度近視、子供の近視に高い効果
オルソケラトロジーの治療効果がとくに高いのは、軽度の近視と中度の近視、そして子供の近視です。
個人差はありますが、軽度・中度の近視の場合、装用から3~7日前後で裸眼視力1.0前後を得ることができます。
また、子供の角膜は柔軟性があるため形状が変わりやすく、効果が出やすいうえに早く安定するという特徴があります。子供の場合、最終的には、数日に一回の装用でも良好な視力を保てるようになります。
なにより角膜が成長段階にある未成年者は、通常レーシックを受けることはできませんが、オルソケラトロジーならばコンタクトレンズの扱いを覚えることで視力の矯正が可能になるというメリットがあります。
3. 強度近視にも対応をめざすオルソケラトロジー
従来のオルソケラトロジーは、おもに軽度・中度近視の矯正に適しており、強度の近視や乱視、遠視の治療は難しいというのが通説でした。しかし、近年開発された新しいタイプのオルソケラトロジー用コンタクトレンズ(オサート)によって、強度近視や乱視への対応が徐々に進んでいます。
オルソケラトロジーの長所と短所
レーザーで角膜を削るレーシックと違い、オルソケラトロジーでは角膜の根本的なかたちを変えることはありません。そのため、コンタクトレンズの装用をやめると徐々にクセが抜けて元の形状に戻り、視力も元通りになります。
視力回復の効果が永続的でない反面、コンタクトの使用をやめるだけで角膜を元に戻すことができるため、その分、リスクも少なくすむのが、オルソケラトロジーの最大の長所と言えます。
一方、オルソケラトロジーの短所は、毎日の就寝前のコンタクトレンズ着用やレンズ洗浄などの手間がかかる点と、定期的なコンタクトレンズ交換の費用が発生する点です。また、重度のドライアイ等コンタクトレンズそのものが不向きな場合も使用が難しくなります。
オルソケラトロジーの長所と短所
オルソケラトロジーの長所
- 夜にコンタクトをつけ、昼間は裸眼で生活ができる
- 装用を中止することで角膜を元の状態に戻すことができる
- テストレンズで視力回復効果を確かめてから装用できる
- ハードコンタクトレンズと同じ使用法のため取り扱いが簡単
- 未成年者・高齢者の装用が可能(7~65才前後)
オルソケラトロジーの短所
- 就寝前にコンタクトレンズを装用する必要がある
- コンタクトレンズのケアが毎日必要になる
- 装用開始からしばらく視力が安定しない場合がある
- 近視の度数や乱視の状態によっては装用できない場合がある
オルソケラトロジーを勧められる場合・勧められない場合
勧められる場合
- 軽度~中程度の近視(強度近視用のレンズもあり)
- 軽い乱視(近視の1/2程度)
- 7歳~65歳でレーシックが適応範囲外の場合
勧められない場合
- 強度の近視(場合によっては可能)
- 強度の乱視
- 眼科的疾患のある場合
- 重度のドライアイがある場合
- 重度のアレルギーがある場合
- その他、事前検査などで不適応と判断された場合
オルソケラトロジーを実施している眼科
新宿に拠点を持つレーシック眼科。子供のオルソケラトロジーにも積極的に取り組んでいる。
オルソケラトロジー費用 |
---|
両眼15.8万円(税抜) |
※適正検査・コンタクトレンズ代・3か月目までの検診代込み ※3か月以降の検診代は1回3,000円 ※コンタクトレンズ定期交換時にレンズ代両眼5.4万円 |
全国9箇所に医院を持つレーシック眼科。オルソケラトロジーは三宮院で対応。厚生労働省とFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可された日本初のオルソケラトロジーレンズを使用している。
オルソケラトロジー費用 |
---|
両眼18万円(税込)※現金一括払いで3,000円割引 |
※レンズ保証:1カ月間 ※適応検査・コンタクトレンズ代・薬代・3か月目までの検診代込み ※3か月以降の検診代は1回1,000円(税込) ※コンタクトレンズ定期交換時にレンズ代1枚3.5万円 |