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多焦点レンズ 子供の視力低下ストップに効果あり?

多焦点コンタクトレンズが子供の視力低下抑制に効果があるというレポートが、今月3日に発表された。研究を主導したのは、大阪大学の不二門(ふじかど)尚教授。視力が0.2~0.3程度に低下した10~16歳の被験者24人を対象2つのグループに分けて研究を行った結果、通常のコンタクトレンズを装着したグループより多焦点レンズを装着したグループの方が視力低下が抑制された。

多焦点コンタクトレンズ

近視のタイプは、大きく2つに分けられる。
一つは角膜・水晶体の屈折率が強すぎるため起こる屈折性近視。本やパソコンなど、近くのものを集中して見続けると起こりやすいと言われている。もう一つは軸性近視。眼球から網膜までの距離が伸びることにより、網膜上に焦点を結ぶことができなくなる。原因は諸説あり、遺伝や成長期に伴う眼球の肥大などがある。どちらも網膜の手前で焦点を結んでしまうという症状は同じだが、視力低下を阻止するアプローチは異なっている。今回多焦点レンズによる抑制効果が確認されたのは、後者の軸性近視による視力低下だ。

不二門教授の実験では、網膜の一点ではなく、網膜全体に焦点を合わせることができる多焦点レンズを用意。10~16歳の被験者24人のうち、13人に通常のコンタクトレンズを、残りの11人に多焦点レンズを日中に装着させ、1年後網膜までの距離がどのように変化したかを測定した。結果、通常のコンタクトレンズを使っていたグループは平均で0.17ミリ後ろに下がったのに対し、多焦点レンズをつけていたグループは平均0.09ミリにとどまった。
軸性近視では網膜が後退し焦点位置との距離が開けば開くほどものが見えにくくなるため、この結果は近視の進行抑制を意味する。

コンタクトレンズで視力の矯正を行いつつ、視力低下をも食い止める――もしもこの技術が発展していくならば、たとえ近視の兆候が出たとしても、視力を悪化させることなく日常生活を送ることができるようになる。将来的には手術に頼らずとも、根本的な視力回復ができる時代がやってくるかもしれない。

ただし、多焦点コンタクトレンズの安全性はどうか等、課題も残る。たとえば、コンタクトレンズではないが、手術によって眼球内部に挿入する「多焦点眼内レンズ」の場合、暗所で光が拡散して見える現象(ハロ・グレア現象)やコントラストの低下といった症状が起こるリスクがある。
多焦点コンタクトレンズが多焦点眼内レンズと同じリスクを持つとは限らないが、メリット・デメリットをしっかりと確認し、子供のライフスタイルに合った視力回復方法を選ぶことが重要と言える。

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