視力回復センターとは?

視力回復センターとは?

視力回復センターとは、低下した視力を回復させるためのトレーニングを行なう施設です。レーシックやオルソケラトロジーといった外科手術や矯正器具に頼らず、トレーニングと正しい目の使い方を学ぶことによって視力を回復させようとするのが、視力回復センターの狙いです。

センターで実施される視力回復トレーニングは、おもに遠方凝視訓練や眼球体操、超音波機器を使ったマッサージなどで、定期的な視力測定や目の使い方指導と平行して行なわれます。
通常は、週に1回~数回程度センターに通ってトレーニングを受け、半年~1年間ほど継続して視力の変化を見ていきます。
費用は各センターによって差があるものの、おおむね入会金に数千円~1万円、月々のトレーニング費用にやはり数千円~数万円程度がかかります。

視力回復センターは、「手術で目をいじるのは怖い」「ドライアイなどでコンタクトレンズの装用が不可能」といった方が利用を検討するケースが多く、とくに子供の視力回復を望む場合、未成年者に適応していないレーシックや、頻繁にコンタクトレンズを装着しなければならないオルソケラトロジーよりも好まれる傾向にあります。

しかし、視力回復センターの効果については、「視力回復効果があった」「通っているあいだは視力が回復したが、やめたあとで元に戻った」「視力回復効果が得られなかった」など、さまざまに意見が分かれます

ここでは、視力回復センターについて、その効果の実際、長所と短所、視力回復センターを検討する際に知っておきたいチェックポイントなどをまとめました。

視力回復センターの効果、長所と短所

視力回復センターの効果

視力回復センターでは、眼球周辺の筋肉を鍛え、血行を良くすることで目の調節機能を高め、視力を回復させることを目的とします。
とくに若年者の場合、水晶体に弾力があり、目の調節をつかさどる毛様体筋も調節機能を回復しやすいため、目のトレーニングや目に良い生活態度を維持することで視力を回復する可能性が高いと考えられています。

しかし、視力回復センターの効果が万能ではないことは留意しておく必要があります。センターで行なわれるトレーニングは、おもに近距離と遠距離を交互に見る運動や、マッサージ・超音波器械などで目の周辺の血行をよくするものです。
これらのトレーニングは、毛様体筋の働きを高め、眼精疲労をとる効果があるため、軽度の近視であれば回復するケースはあるものの、強度や中程度の近視、とくに眼軸の長さが原因で起こる先天的な近視や、目の見る力そのものが低い弱視などには充分対応できないことが多いのです。

また、視力は患者本人の体調やモチベーションによって左右する傾向があります。集中しているときほど視力検査の結果は良くなり、反対に集中力の失われている状態では、普段よりも低い数値が出ることがあります。この傾向は、年齢の低い子供ほど顕著になります。

視力回復センターは、視力回復を目指す人々が集まる施設であり、スタッフも患者の視力を回復させようと熱心に取り組んでいます。
センターに通っているあいだと、やめたあとで視力が違うと感じる場合は、こうした患者本人と周囲のモチベーションの差も可能性としては考えられます。

眼科に行き、視力回復センターについて相談をすると、「トレーニングでは近視は回復しないので、視力回復センターにかかるより眼鏡やコンタクトレンズできちんと矯正をするべきです」と言われることも多いでしょう。
眼科医には視力回復センターに懐疑的な見解を持つ医師が多く、その理由は、やはり視力回復センターの提唱する視力回復トレーニングに医学的根拠が乏しい点と、近視・遠視といった屈折異常を矯正せずに放置することへの危険性があると考えられます。

視力回復センターの長所と短所

視力は、空間認識や色彩・文字の判読など情報収集のために非常に重要な役割をはたしており、とくに子供の場合、低視力を放置することは、学業はもちろん、脳の発達そのものに影響を及ぼしかねません

また、視力の低下は必ずしも近視や遠視といった屈折異常が原因とは限らず、眼疾患の場合もあれば、視力発達が充分でないために起きる弱視などの可能性もあり、その場合は眼科医や視能訓練士といった専門スタッフによる治療が必要となります。

視力回復センターに通っていると、目に関するもろもろを、すべてセンター頼みにしてしまいがちですが、視力回復センターの多くは医療施設ではないため、専門の医療スタッフを常駐させているセンターは少なく、異常の発見が遅れるケースもあります。

このような理由から、視力回復センターを検討する際は、センターにおけるトレーニング効果が限定的であることを踏まえたうえで、眼科の検診とも平行するなどの工夫が必要と言えるでしょう。

視力回復センターの長所
遠方凝視や眼球体操など、眼の健康に役立つ訓練を受けられる
視力回復のためのモチベーションを維持できる
目に良い生活習慣の体得に役立つ
副作用が少ない
視力回復センターの短所
高額な費用がかかる
科学的な視力回復効果は立証されていない
通うのをやめると元に戻るとの声が多い
眼科専門医や視能訓練士などの専門スタッフがいない場合が多く、屈折異常以外の眼疾患などは発見が遅れる可能性がある

知っておきたい視力の話 ~視力の種類~

視力には、矯正しない状態で測った「裸眼視力」と、レンズで矯正した「矯正視力」があります。
眼科では、このふたつの数値に加えて、近視の度合いを表わす「球面度数」、乱視の度合いを表わす「円柱度数」を測り、計4項目の数値で視力を判別します。

近視の度合いを表わす「球面度数」は、プラスマイナスの数値で表わされ、ゼロに近いほど近視が弱く、マイナスに傾くと近視、プラスに傾くと遠視となります。マイナス6以上は眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が必要です。

乱視を表わす「円柱度数」も、プラスマイナスの数値で表わされ、ゼロに近いほど乱視は弱く、大きくなるほど強い乱視となります。また、乱視とは角膜や水晶体に歪みが発生している状態を言うため、その歪みの方向(=乱視の方向)を表わす角度も明記されます。

通常、眼鏡やコンタクトレンズ、レーシックなどで視力を矯正する場合は、「矯正視力」を1.0以上出すと同時に、「球面度数」と「円柱度数」もゼロに近づけていきます。すべての数値に向上がみられてこそ、視力が回復した状態と呼べるのです。
同様のことは、視力回復センターのトレーニングにも言うことができます。トレーニング効果をはかる際は、裸眼視力や矯正視力だけでなく、球面度数や円柱度数のデータもすべて見たうえで、近視や乱視の回復情況を判断するのが良いでしょう。

逆説的に言えば、これらの視力検査のデータをきちんと開示してくれるかどうかは、そこが信頼できる視力回復センターかどうかを見る指標の一つ、とも言えるかもしれません。

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