レーシックの安全性

レーシックを受ける上で心配なことは、やはり、手術そのものの安全性です。レーシックを受けたことにより、なんらかの問題が起きた例はないのでしょうか。

失明件数はゼロ

目の手術と聞いて、真っ先に連想するのは、おそらく、手術が失敗して失明する可能性についてでしょう。
しかし、日本より5年ほど早くレーシックを実施したアメリカや、日本の眼科学界でも、レーシックの失敗による失明は一例も報告されておらず、レーシックによる失明の危険は、ほぼゼロであるというのが定説となっています。

これは、レーシックが、角膜を形成する手術であり、(網膜や視神経など)眼球内部の「見る機能」をつかさどる部分に触れることがないためです。
眼球の一番外側にある角膜、とくに表面の角膜上皮は、人体の中では爪の次に硬く、回復力と再生力にすぐれており、レーシックによる手術痕はほとんど残りません。また、血管も通っていないために、出血の恐れもなく、重大な視力障害に発展しにくいのです。

エキシマレーザー

レーシックに使われるエキシマレーザーは、ハロゲンなどの混合ガスを用いて、波長の短いレーザー光を発生させる装置です。
熱や衝撃波を出すことがなく、角膜を正確に削ることができるため、熱に弱い角膜の手術も、ほとんど痛みや損傷をともなわずに行なうことができ、手術後の視力の回復効果が早く出るという特徴があります。

エキシマレーザーは、1995年にアメリカの食品医薬品局(FDA)によって、また、2000年には日本の厚生労働省によって、治療現場での使用が認可されました。
これは、承認された機械を使って適切な手術が行なわれる限りにおいては、エキシマレーザーの安全性・副作用には問題がないと判断されたことを意味します。

参考記事 医療機器について(神戸神奈川アイクリニック)

レーシックのリスク

では、失明以外に考えられるレーシックのリスクとはなんでしょう。
それは、おもに手術後に起きる可能性のある合併症と再近視化です。また、年齢が進むにつれて起きてくる老眼との関係にも留意する必要があります。

その1:合併症

レーシックの合併症として、よく知られている症状の例を、下記に挙げます。

  • 視界がぼやける
  • ドライアイ
  • 異物感(ゴロゴロするなど)がある
  • 暗い場所で物が見にくくなる
  • 細菌感染
  • フラップがズレる、シワになる
  • フラップの下が炎症を起こす
  • 強度の乱視が発生する

これらの合併症は、手術後、数日~2ヶ月ほどで治癒する「軽度の合併症」と、長期の治療、あるいは角膜移植などの再手術が必要にもなる「重度の合併症」とに分けられます。

手術後、①②③④が起きるケースは、比較的多く見られます。割合にして約1~2%程度、すなわち100人がレーシックを受けると、1~2人には起こる確率です。
そのほとんどは「軽度の合併症」であり、点眼治療や時間の経過とともに治っていきます。

ただし、⑤⑥⑦⑧の症状は、「重度の合併症」に発展する可能性が高いと言えます。重度の合併症の発生率は、全体の約0.2~0.3%。1,000人手術を受けた中の2~3人です。

重度の合併症が起きる原因は、いくつか考えられます。

  • 手術後に、眼部をこする・強打するなどの過失や事故によるもの
  • 医療機器(エキシマレーザーやマイクロケラトームなど)の不具合や、医療設備(手術室など)の衛生環境に問題があった場合
  • 手術を行なう医師の技術不足(眼科専門医以外の医師や、レーシック経験のない医師が執刀するなど)
  • 正確な眼球の状態(角膜の厚みなど)を把握していなかったことによる矯正不良
  • その他、原因不明

レーシックを受ける際に、まず理解しておかなければならないのは、①~④のような事故や過失・ミスなどが原因で起きる合併症についてです。

これらを防ぐ一番の方法は、「レーシック(とくに術後の生活について)の知識を持っておくこと」「安心して手術を任せられる良い眼科を選ぶこと」です。

しかし、⑤のように原因が特定できない合併症も、ごくわずかながら存在しています。
手術である以上、どれほど高い安全性や低いリスクを誇っていても、100%の安全や0%のリスクを保障することは困難と言えます。

レーシックは、命に関わる傷病治療とは違い、患者本人の希望と都合が大きな割合を占める手術です。最終的には自分の意思でレーシックを受けるかどうかの判断を下すことが大切と言えるでしょう。

その2:再近視化の可能性

いったんは視力が回復したものの、手術後に近視が戻る「再近視化」という現象が起こることがあります。
これは、手術をした角膜に、新たな近視が発生することと考えられています。

現在の医学では、近視の原因が特定できないため、再近視化を完全に予防する方法も確立されていませんが、強度の近親ほど、この再近視化が起きる確率は高まることが判っています。強度近視の手術者のうち、約3~5%に、再近視化の傾向が見られるそうです。

また、近視の強弱に関わらず、長時間のパソコン作業など、目を酷使し続けることで、再近視化の確率は高まると言われます。

手術後の目に再近視化が起きた場合、まずはレーシックを受けた眼科に相談し、近視化の具合を確認します。そこで眼科医の判断により、追加の矯正手術が行なわれる場合もあります。

追加矯正手術の保障

レーシックを専門に行なう眼科には、再手術費用を無料で保障しているところがあります。手術を受ける前には、こうした各眼科の保障内容についても確認をしておくと良いでしょう。
ただし、目の健康状態や角膜の厚みによっては、追加矯正手術が不可能になります。追加矯正の可否については、適応検査の終了後など、手術を受ける前に眼科専門医に相談しましょう。

その3:老眼との関係

老眼との関係・画像

45歳以上になると、多くの人の目は老眼になります。
老眼とは、年齢とともに目の水晶体が硬くなり、ピントの調節機能が落ちることを言います。とくに手元など、目に近い部分が見づらくなるのが特徴です。

老眼は、レーシックの有無にかかわらず必ず発生するものですが、レーシックによって近視を治療していると、老眼が出てきたときに近くのものが見づらくなる可能性があります。

眼科医によっては、レーシックを受ける患者の年齢を考慮して、あえて少しだけ(0.7前後)近視を残しておくように勧める場合があるようです。
近視は、近くのものにピントを合わせることができる目なので、将来的に老眼が出てきたときにも、それほど近作業に困ることがないのです。

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